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Special特集

COLUMN - 「墨…ナノの色表現に携わって」 -

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私は奈良の墨屋の営業職を30年に渡り続けてきました。小さな頃、お習字の授業がありましたね。多分、墨液と言われる液体墨を使われた方が大半かと思います。

墨は、煤・膠と微量の香料という一見単純な原料で造りますが、「墨に五彩あり」と言われるように、とても微妙な色を表現します。書家、画家などの表現者は、そのような色を駆使して「白と微妙な色調の黒だけで広大な世界」を表現します。昭和の終わり頃まで、墨は、「墨専用の煤」を焚く職人、「墨専用の膠」を炊く職人がいて、各々の特徴を組み合わせて墨職人が墨を造っていました。が、昨今は煤・膠共に職人の高齢化や、苛烈な労働環境から後継者がいなくなり、生産が途絶えました。私共では、墨づくり200年の歴史から座視できず「今ある原料」を組み合わせ、「原料の自社生産」も手がけ現在に至っています。

浪曲 墨各種、墨乾燥


で、ここから、少しだけ小難しい話をさせて貰います。 小さな頃「色は光の反射で見える、と学びましたね。墨の色も同じで、炭素分子の集合体「煤」は、有機物を不完全燃焼させて採ります。この時燃焼方法の違いで、採れる煤の大きさや特徴が違います。直火焚きといって原料を直接燃やして大きな空間で採る直火焚煤は粒子径が20ナノメーター(1nmは100万分の1mm)から400nmと幅があり灰分などの不純物も混在します。灯心を使って閉鎖空間で採る芯焚煤という煤は15~80nmと比較的揃った粒子径の煤が採れます。この煤を膠と混ぜて均質になるように練り、墨にします。墨を磨った液は紙の上にのせると、この粒子径の大きさや混入した不純物によって色が違って見えます。100万分の20か300か…人の目はこの微妙な違いを見分けるのです。我々造り手が「手間暇かけて採った原料を、丁寧につくった墨だから良いものです。」と勧めても使い手が「自分の表現したい色が表現できない」ということは多々あります。このようなことは、膠の表面的な役割にもあり「造るのに理想の膠粘度と、書く時に適した粘度に違いがあり」この差を埋める膠づくりも重要な要素でした。昔、表現者は自分にあった墨を探すために様々な工房を尋ね自分の表現に合う墨を探し、我々造り手は表現者に合う墨を造ろうと努力してきました。この造り手にとって良い墨と使い手にとって欲しい墨のギャップを埋めるには実際に磨って検証して頂く事が近道と、「墨を磨って試せる施設を設け、納得のいく墨探し、微妙な色表現のお手伝いをしながら、原料供給が無くなったのなら、自社生産をしてでもこの微妙な色の世界を存続させたいと思っています。


(文)
竹内三津男(たけうち・みつお)

プロフィール
株式会社墨運堂 東京店店長



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