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Special特集

COLUMN - 「女流義太夫の冒険」 -

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「義太夫節」という古典邦楽の1ジャンルは、1684年を嚆矢として現在、「文楽」という名前で上演される人形浄瑠璃において、また「歌舞伎」では「竹本」と呼ばれる歌舞伎専門の義太夫演奏者さんたちによって演奏されています。が、すべて男性だけで上演されるため、女性だけでグループを作って、主に「素浄瑠璃」という、演奏者だけが舞台に出て演奏会をする形で存続しているのが、私の所属する「女流義太夫」です。

演奏する曲も文楽で演奏されるものと同じ曲ですし、以前、紀尾井ホール主催公演で、文楽の人形と女流義太夫のコラボ公演をして下さった時、テレビの取材を受けて、「女流の演奏になるとなにが違いますか?」と聞かれて、「違わないけれども…」と答えざるを得ず、まとまった特集は難しい、という結論になってしまったことがありました。

しかしながら、義太夫節は、感情をマックスに持っていってカタルシスを得る、という、体力の限界に挑戦するような芸能であり、楽器も大きく、女性が演奏するには体力的にハンディが大きいにもかかわらず、草創期の1700年代から女性が演奏し続けている、という事実があります。ということは、そこにはなにかあるに違いない……これが、私が女流義太夫に入って演奏しながら、考え続けていることです。
その答えは簡単には出るものではありませんが、師匠である竹本駒之助の語りをはじめて聞いた時の個人的感想は、女性が頑張って語ると、もっとすごいものに聞こえるのかも、ということでした。

また、歴史を背負う、ということは、保存の義務も有することで、女流もその例外ではありませんが、比較的自由な冒険が許されるのでは?とも、常に思っています。機会があればさまざまなものを見聞きし、人と出会い、可能な試みは拒否しないように心がけています。
そのためには、基本となる古典の勉強がさらに重要になる、ということも、あらゆる仕事から学びました。

最近の冒険?的なお仕事から…
日本舞踊協会の新作公演、未来座彩の、「ピノキオ」を翻案した「檜°男」では、「星に願いを」をはじめ、効果音やメロディーを弾きました。

檜°男


劇団花組芝居とは、「摂州合邦辻」という義太夫の演目をインドの神々の世界に置き換えた「怪誕身毒丸」で生演奏で弾かせていただいたのが1991年。以来、「天変斯止嵐后晴」「KANADEHON 忠臣蔵」等を経て、寺山修司の「毛皮のマリー」、「黒蜥蜴」と、座長加納幸和さん作の浄瑠璃部分を作曲演奏録音させていただき、この12月の「義経千本桜」では、普通ならまる1日かかるものを2時間35分にまとめたテキストに沿って義太夫節をアレンジ、創作、カラオケ作り?等をさせていただきました。

左:花組芝居、右:赤坂ふれあいコンサート


いずれも、芝居全体の状況や感情表現の補助という、日頃の演奏で、三味線弾きが、語りで演技をする太夫のためにしている作業と同じことをしますが、それがその芝居の役に立ち、一緒に楽しくいいものを作れ、また、義太夫節そのもののアピールまでできたら、最高の仕事だと思っています。


鶴澤津賀寿

(文)
鶴澤津賀寿

プロフィール
東京都出身。1984年竹本駒之助に入門、三味線を四代目野澤錦糸に師事。1986年駒之助の義母鶴澤三生の幼名津賀寿を継ぎ初舞台。鶴澤重輝の預かり弟子となる。
1996年度芸術選奨文部大臣賞新人賞(古典芸術部門)受賞。
1997年度清栄会奨励賞、1999年度日本伝統文化振興財団賞、2018年中島勝祐創作賞等受賞。
2009年重要無形文化財「義太夫節浄瑠璃」総合認定。



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