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【一の糸】

皮を張り替えた祖母の三味線
   皮を張り替えた祖母の三味線
三味線の象牙製の駒と絹でできた糸
 三味線の象牙製の駒と絹でできた糸

有吉佐和子さんの小説に「一の糸」があります。天才的な文楽の三味線弾きに恋をしてしまった女性(茜 あかね)が主人公です。物語を通じ、芸の凄さ、厳しさを描いた作品です。フィクションですが実にリアルで、芸を極めるとは、こう言うことだろうなと考えさせてくれる作品です。
三味線は西洋の楽器に比べて単純で、胴と棹(さお)と三本の弦から構成されています。一番太い弦を一の糸と言います。茜はこの一の糸の音色に魅かれます。棹には太棹、細棹があって、文楽や津軽三味線では、太棹を使い、迫力のある太い音が出ます。一方、細棹は長唄に使われ、優しい音が出るそうです。胴には、猫か犬の皮が貼ってあり、切れる寸前まで張られています。
皮はよく破れ、張り具合で三味線の音色が変わります。物語のなかで、張り方が気に入らない天才三味線弾きが、既に妻になっていた茜を通じて、職人に張り替えをせまる場面があります。
三味線のルーツは中国のシャンセンで、琉球を渡って日本に入って来ました。三味線が今の形になったのは、秀吉が淀君に送った「淀」と言う名の三味線で、現在も残っています。蒔絵(まきえ)がほどこされた芸術品です。西洋音楽に押され、あまり聴く機会が少なくなった日本の三味線。実に繊細で奥の深い楽器です。