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花木――“かぼく”と読みます。植物は、草でも木でもすべてのものに花は咲きます。それらは色も形も千差万別。二つとして同じ物はありません。そんな中で私達人間が見て美しく観賞価値のある花を咲かせる木を、園芸・造園の分野では、花木と呼んでいます。
誰でも知っているような花木には、桜、梅、バラ、椿などがあり、ちょっと変わったところで、夏に元気に咲くハイビスカス、ブーゲンビリアなどは、熱帯性の花木です。
数ある花木の中でここ数年、特に私が注目しているのが、日本原産の落葉性花木。早春から春に咲くものでは、ヒュウガミズキ、ダンコウバイ、オトコヨウゾメ、ヤブデマリ、ガマズミ、シロヤマブキ、などがあります。これらは冬の間、枯木のように見えた枝先から、小さな芽をふくらませ、花を咲かせ、葉をひろげ、夏には緑濃い葉を茂らせ、秋には紅葉して四季のうつろいを如実に表してくれます。
なかには、赤や黒の実を晩秋まで楽しめるものもあります。ちなみに落葉性のものは、葉のない時がさみしいという見方もありますが私はその時こそ、木そのものの骨格や木肌が見えて素の美しさを感じます。


初夏に咲く代表的な花木に、ヤマアジサイがあります。アジサイというと、手まり型の大きな花をつけ豪華な雰囲気をもつ西洋アジサイを思い浮かべますが、ヤマアジサイは、日本の山野に自生しているアジサイで、小さな花やきゃしゃで細い枝ぶりは、楚々とした美しさがあります。また西洋アジサイが、日当たりの良い所で育つのに比べ、ヤマアジサイは半日蔭(北側の明るい所など)で育つという生育環境の違いがあります。
日当たりが悪いからと花をあきらめている人には、是非おすすめしたい植物です。
木というと広い庭でなければと思われがちですが、先にあげたこれらの花木は、鉢でも十分育てられます。一本あるだけで、庭やベランダに季節を運んでくれる日本の落葉性花木を育ててみませんか。

(文)
園芸家 有限会社風のみどり塾主宰 杉井明美
プロフィール
アークガーデン内にある全ての庭と、六本木ヒルズ内・六本木さくら坂のデザインからメンテナンスまでを手掛ける。
千葉県生まれ 女子美短大卒。生家は千葉県南房総市の(株)杉井農園。
朝日新聞木曜夕刊の「ガーデニングコーナー」や園芸誌などメディアに多く登場し、園芸教室の講師も多数つとめる。コンテナガーデンの普及にはじまり、都市のランドスケープまで幅広く手掛けている。自然な風合いを大切にした植裁や寄せ植えは、ガーデニングファンから絶大な支持を得ている。